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2015年:環境地図作品
今年の作品展について
審査委員長 氷見山幸夫(北海道教育大学名誉教授)
「私たちの身のまわりの環境地図作品展」は今年第25回目の節目を迎えました。この作品展は1991年8月に旭川市で開催された「環境変化と地理情報システム国際会議」の付帯事業として始められ、以来日本で唯一の全国規模・世界規模の地図作品展として発展してきました。それは夏休みなどに頑張って良い作品を作って応募してくれた多くの児童生徒と、彼らを支えたご家族や先生方、それに作品展を支援してくださった学会、会社、機関などのご厚意のお陰であり、感謝に堪えません。日本地図センターが月刊誌「地図中心」の今年10月号で「環境地図展の25年」という特集を組み、当地図展を詳しく紹介してくださったのも、大変有難いことでした。
本年この地図展には国内から39校1,610点の応募がありました。それらのうち、予備審査を通った小学校20点、中学校659点、高等学校91点、計770点の作品が10月3日~4日に開催された最終審査会で審査され、優秀賞39点、優良賞32点、努力賞28点、計99点が選出されました。どれも努力と工夫が光るすばらしい作品ばかりで、見ていて楽しく、また作者の思いが強く伝わってきます。展示会場には全入選作品99点が貼り出されます。
この作品展には「指定テーマ」と「自由テーマ」とがあり、応募者はそのいずれかを選ぶことができます。今年の指定テーマは身のまわりの「変化」です。作品のタイトルから水路の地図かと思ってよく見ると、実は川の暗渠化という「変化」を扱った地図だった、といったケースもあり、「変化」を見る目の多様さと柔軟さに魅かれます。今年は、小学校の作品の応募校数が増え、作品の質も高かったことが特筆されます。例えば小学校1年生の作品が、動物園の動物たちの目に注目して大変丁寧に観察し、考え、動物園のスタッフに質問し、地図に示しているのは大変素晴らしいことです。
4年前まで多数の地図作品を応募していた中国からは、昨年に引き続き今年も作品が届きませんでした。3年前の日中両国の関係悪化の影響で中国国内の地図展実施体制が弱体化してしまい、両国関係が改善しつつある現在も立て直しが十分できていないようです。今年は他のいくつかの国からの参加も期待されていましたが、残念ながら1点も応募がありませんでした。このように、国際的観点からは寂しい年になってしまいましたが、来年こそは国際色豊かな本来の姿に戻せるよう、関係者の皆さんと頑張りたいと思います。
私事になりますが、私は今年3月に北海道教育大学旭川キャンパスを定年退職しました。しかし幸い、同キャンパス社会科教育研究室の坂井誠亮先生と金玹辰先生に加え、地理学研究室の後任教員である栗林賢先生も環境地図教育研究会の活動に参加されることになり、これまで以上にしっかりとした事務局体制でこの事業を継続することができそうです。皆様の益々のご支援を宜しくお願い申し上げます。
なお、「私も一緒に活動してみたい」という方は大歓迎ですので、是非当研究会に入会してください。
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