今年の作品展について
審査委員長 坂井誠亮(北海道教育大学教授)
「私たちの身のまわりの環境地図作品展」は今年度で第31回目を迎えました。全国規模、世界規模の地図作品展として、これまで発展し続けてまいりました。旭川という一地方都市から、全国や世界に環境地図教育の素晴らしさを発信し続けてきたことは、とても意義深いものであります。それはまさに、これまで支えてくださってきた子ども達や保護者の方々、先生方、また多くの学会や会社、諸関係機関のご協力の賜であり、感謝の気持ちでいっぱいです。また,今年度は昨年度から続いておりますコロナ禍という厳しい状況にもかかわらず,素晴らしい作品が旭川に集まってきました。
今年は、国内から47校(昨年度38校),出展数は昨年度741点を上回る878点ありました。このように,たくさんの作品を出展いただけたこと,心より感謝いたします。そのうち,9月25日・9月26日に開催された審査会で審査され,優秀賞39点,優良賞31点,努力賞35点,計105点が選出されました。
学校奨励賞としては,今回,IGU-CGE議長賞・旭川市教育長賞をはじめ,3つの優良賞を受賞した東久留米市立小山小学校が選ばれました。小学生の作品は,家庭での取組が多く個人の出展が主流なのですが,小山小学校では,総合的な学習の時間の取り組みとして,学校のカリキュラムに位置づけて取り組んでいるところが特徴です。また,はじめは一つの学年だけの取組だったのですが、近年はそれが全学年に広がってきています。今回の優秀賞の2作品「黒目川きれいな川アンド魚」(小学校2年生)と「小山今昔物語」(小学校6年生)は,子どもの発達段階に応じた色合い(ある意味,作品に親の手が入っていないことの面白さ)が出ていて,楽しませてもらいました。今後,どのように取り組みが発展していくのか楽しみです。
今年の指定テーマは,「健康」です。指定テーマの作品が,9作品優秀賞に選ばれました。「マスク流線マップin越谷」は,コロナ禍という現状の中で生まれた作品ですが,マスクの着用率を矢印の幅や模様で表現する等,ユニークな作品に仕上がっています。また,コロナに限らず幅広い「健康」に関する作品も多数寄せられました。「重ね地図で坂道を可視化してみたら都会に砂漠が出現した!フードデザート(食の砂漠)問題を考える」は,社会的・身体的弱者の視点に立ち「現代社会の問題点」を炙り出している意義深い作品に仕上がっています。
今年も5年連続でスロベニアから3つの出展がありました。これからも、海外からの出展、参加を期待しております。
来年度の指定テーマは「世界」です。世界と言えば地球規模の広い空間だけでなく,細胞のようなミクロな世界にも使われます。幅広い使われ方をする言葉ですので,子どもたちの創造が広がるのではないかと期待しております。
*北海道地図株式会社様・制作による360°バーチャル展示会場
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